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彬子女王の日本美のこころを読んで・・・ 4 出雲お話し

2025/05/18

      ~私は一度も尋ねた事がないのだけれど、
            出雲は日本人なら一度は訪ねておくべきだと思いました。~
   ~約270年前に造替された御本殿のクロマツの桁木から、今も松脂が滴るのだそうです。~
        ~60年に一度の御遷宮は、2013年(平成25年)に行われ、
               私には次を見られるチャンスはないのですが・・・~
 私の姪は、仕事で島根県を訪れた際、『出雲大社には是非訪れたい。』と言っていました。どんな思いだったのかは尋ねたことがなかったのですが、ある時その夢を叶えた時がありました。『用事を終えたらここと、ここを見て回る。』と色々考えて現地に向かったと記憶しています。でも、現実はそんなに甘くありませんでした。東京とは違いますので、あちこち回りたくとも交通の便が悪く、待ち時間が多過ぎて予定通りには進まなかった様です。最後に入ったお店で、もう一つ回りたい所の情報を頂こうとしてたずねたところ、行き方や所要時間などたくさんの情報を頂けたそうです。しかし、帰らなければいけない時間までには到底回れない状況だった様です。『今回は諦めます。』とお店を後にしようとした所、『車で連れて行ってあげる。』と言って頂いたのだそうです。遠慮してお断りしようとしたら、『時間勿体ない!早く、早く!折角来たんだから。』と連れて行って下さったそうです。それが何処を尋ねたのだかもきちんと記憶していないのですが、遠く東京からやって来た20代の若者に、行きたかったのに行けないで帰らなくちゃ・・・と残念がっている若者に、その思いを慮って親切な申し出をして下さった事に、この地域の人々の特性を垣間見た気がして、話を聞きながら私からもお礼を伝えたい気持ちになりました。
 彬子様もまた、出雲には親しみを感じていらっしゃるお一人で、初めて訪れた時から“懐かしい”とお感じになり、DNAレベルでその懐かしさを感じ、なんだか遠い昔に出雲に来た事がある様な気がすると書いていらっしゃいました。
 出雲大社は、平成25(2013)年、60年ぶりに御遷宮の年を迎え、社殿を修理・造成し、新しい社殿に御神体が遷されたのだそうです。彬子様が訪れたのは、その工事期間中に何度にも及び、素屋根が外れた4回目の訪問時に感動的な出来事に触れられたのだそうです。修繕場所を回りながら、案内役の権宮司さんが、何気なく床から拾った物を彬子様の掌に乗せたのだそうです。それは、琥珀の様にキラキラと美しい約270年前に造替された御本殿のクロマツの桁木から今も滴る松脂だったのだそうです。植物の生命力の強さに加え、出雲大社という場所の不思議なのか、松脂のカケラから大きな力を感じられたそうです。約270年前に御遷宮に関わった人々の思いを、溢れ出る松脂が教えてくれた気がしたと書かれていました。
 彬子様は、最後に御遷宮をする意味について述べられています。それは、原点回帰であると・・・。人間は慣れてしまう生き物で、そこに何かがある事や誰かが何かをしてくれる事を、いつしか当たり前の様に思ってしまう様になり、その慣れが人間を怠惰にしてしまっていると書かれていました。そして、そうなりつつある人間が原点回帰をする機会を得られる事で感謝の気持ちを思い出し、その思いを伝える機会になると述べられていました。そして、当たり前である事にどの様な意味があるのかを、もう一度考える機会をいただく事になると述べられていました。
 私には、次の御遷宮の機会を得るチャンスはないのですが、その機会を得たつもりになって、何かがある事や誰かが何かをしてくれる事を、その時その時に原点回帰し、感謝の気持ちを思い出し、何かがある事や誰かが何かをしてくれた事の感謝の思いを伝えられる人間でありたいと、読みながらバーバは思いました。

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